導入するだけでWordPressが高速化されるKUSANAGI。そんなKUSANAGIで動かすWordPress をさらに高速化できるのがWEXALです。
WEXALを導入することでKUSANAGIだけでは実現できなかった高速化が実施され、さらにページ表示速度が向上します。
今回はそんなWEXALについて詳しく解説していきます。
WEXALとは?
WEXAL(WEXAL® Page Speed Technology)とはプライムストラテジー株式会社が開発しているCMS高速化エンジンです。
WordPressを含むCMSの動作を高速化出来るKUSANAGI上に導入することができ、HTTPリクエスト・レスポンス・レンダリングなどページ表示速度に関わるあらゆる要素が最適化されます。
WEXALを導入すると何が変わる?
ただでさえWordPressを高速化出来るKUSANAGIにWEXALを導入すると何が変わるのか見ていきましょう。
CSS・JavaScriptが最適化される
KUSANAGIはあくまでWordPressなどのCMSの動作を高速化するための仮想マシンイメージであり、直接HTMLやCSS・JavaScriptを圧縮したり遅延読み込みさせたりするものではありません。
WEXALはそういったWebページの最適化を行うKUSANAGIの拡張であり、KUSANAGIによってただでさえ早くなるWordPressをさらに高速化することが可能です。
HTTP/2に対応した最適化が施される
CSS・JavaScriptの最適化と言うと1ファイルにまとめて圧縮してフッターで読み込むという手法が一般的です。
ですがHTTP/2の登場により、1ファイルにまとめずに各ファイル順次読み込ませる状態のままにするほうがパフォーマンスが高まるようになりました。
HTTP/2登場以前はWebページで読み込まれるリソースファイルを1ファイルずつ読み込む処理が基本でしたが、HTTP/2では読み込むリソースファイルを並列に読み込むため、下手に1ファイルにまとめて圧縮するよりも高速化出来るのです。
当然ながらWEXALはこのHTTP/2の仕様を最大限に活かしており、CSSやJavaScriptの無駄な空白や空行を削除して圧縮することはあっても1ファイルにまとめない仕様となっています。
JavaScriptファイルを強引に結合する必要もなくなるため、JavaScript圧縮によってjQuery依存のJavaScriptが動かなくなる心配もありません。
画像がwebp形式で配信される
webpとは、Googleが新たに開発した画像フォーマットのことで、png形式と同じくアルファチャンネルが利用できる(透過画像を使える)上にpngやjpegよりもファイルサイズが小さくなる次世代フォーマットです。
webpが登場した直後は様々な要因でChromium系ブラウザ(Google Chromeなど)以外ではなかなか普及しませんでしたが、実用性の高さやwebp形式に対応するWebサイトが増加してきたことからSafariなどほかのメジャーなブラウザもwebpフォーマットをサポートするようになり、webp画像を表示できるようになりました。
そんなwebpをWEXALを使えば自動的に配信することができます。pngやjpeg形式の画像をアップロードした後、自動的にwebpバージョンの画像も生成されるためwebp変換関係の作業も一切必要ありません。
webpフォーマットに対応しているブラウザではweb形式の画像を、webpフォーマットに対応していないブラウザでは元のpngやjpeg画像を表示するため、画像が表示できないトラブルが起きることもありません。
webp形式で配信すると元画像は500KBある場合でもファイルサイズが10分の1以下になることも珍しくありません。
そのためWebページ容量を大幅に削減でき、転送量の低下・ページ表示速度アップを実現できます。
Google Adsense導入サイトでもPageSpeed Insightsのスコアがかなり改善される
Google Adsenseを導入していると、キャッシュプラグインの導入・画像最適化・LazyLoadなどあらゆる最適化を行ってもPageSpeed Insightsのスコアが30点以下になってしまうことは珍しくありません。
逆にGoogle Adsenseを外したら満点に近い数字が出たということもよくあります。
そんなPageSpeed Insightsのスコア改善・ページ表示速度高速化の悩みのタネになりやすいGoogle Adsenseですが、WEXALはこのGoogle Adsenseすらも最適化して高速化してくれます。
こちらはGoogle Adsenseを導入しているサイトですが、KUSANAGI×WEXALの組み合わせに加えて独自にチューニングして最適化したときのスコアです。
Google Adsenseを導入しているにも関わらず、スコアが低くなりがちなモバイルでも非常に高いスコアを叩き出しており、実際のページ表示速度もかなり安定しています。
Google Adsenseを導入してもなお高速化出来るというのはかなり大きなメリットでしょう。
WEXALを利用する条件
WEXALは無条件に導入できるわけではありません。いくつか利用するための条件がありますので順番に見ていきましょう。
KUSANAGIを既に導入している
WEXALはKUSANAGI上に導入するため、KUSANAGI環境以外にWEXALを導入することはできません。必ずKUSANAGIが必要なので、KUSANAGIを利用できないレンタルサーバーなどを利用している方はKUSANAGIを利用できるサーバへの引っ越しなどを検討しましょう。
WEXAL対応のサーバー・クラウドサービスを利用している
KUSANAGIを導入できるサーバー・クラウドサービスはたくさんありますが、その全てがWEXALに対応しているわけではありません。WEXALを利用できるのは以下のサーバー・クラウドサービスです。
- KUSANAGI for Microsoft Azure
- KUSANAGI for AWS
- KUSANAGI for GCP
- KUSANAGI on Alibaba Cloud
- KUSANAGI on FUJITSU Cloud Service for OSS
- KUSANAGI for Vagrant
- KUSANAGI for VMware
- KUSANAGI for IDCF クラウド
- KUSANAGI for Oracle Cloud
- KUSANAGI for さくらのVPS
- KUSANAGI for ConoHa
- KUSANAGI for さくらのクラウド
- KUSANAGI for Z.com
「KUSANAGIを利用できる=WEXALを導入できる」ではないので注意してください。
KUSANAGI Premium Editionを購入している
WEXALを使用するにはKUSANAGI Premium Editionを購入もしくはアップグレードする必要があります。購入するといっても個人の方は無料で購入でき、法人の方も月額3,000円から利用可能です。
ただし法人で有償ライセンスを購入する場合は、使用するサーバーのCPUコア数で料金が変わってきますので覚えておきましょう。
サーバースペックを満たしている
KUSANAGI環境はWordPressを高速化する代わりにそれなりのサーバスペックが必要となりますが、WEXALを導入するとさらに必要スペックが高まります。
KUSANAGIはメモリ4GB以上が推奨されていますが、アクセスがそれほど多くないサイトであればメモリ1GBでも十分高速化されます。2GBあればよっぽどアクセスが多いサイトではない限りサイトが頻繁に落ちる・重くなるということはないでしょう。
ですがWEXALを導入することで必要メモリが更に高まるため、メモリ1GBだとWordPressが高速化されるどころか、メモリが圧迫された状態になって頻繁にサイトが落ちる(503エラーが発生する)・遅くなるリスクがあります。
ですので相当予算がない限りはメモリ2GBのプランでWEXALを導入しましょう。メモリ1GBだとWEXALを導入するメリットよりもデメリットのほうが大きいでしょう。
WEXALを利用する際の注意点
WEXALを導入するとWordPressがかなり高速化されますが、3点ほど押さえておきたい注意ポイントがあります。カンタンにWEXAL導入時の注意点を見ていきましょう。
管理画面は何も変わらない
WEXALのはトップページや投稿記事ページなどのフロントページを最適化するKUSANAGIの拡張です。
そのためWEXALを導入したからといってWordPress管理画面・ダッシュボードが速くなるというわけではないので勘違いしないようにしてください。ダッシュボードをさらに高速化したいのであればサーバースペックの強化を検討しましょう。
ログイン中は何も変わらない
WEXALは管理者権限でWordPressにログインしているユーザーに対しては何も行いません。
そのためWEXAL導入時にログイン状態のまま記事やトップページを開いても最適化されない状態であるためウェブページの表示速度はWEXAL導入前と変わりません。
WEXALのパフォーマンスは試したい場合は、シークレットブラウザなどを使って非ログイン状態でアクセスするようにしてください。WEXAL導入直後は、WEXAL導入前に生成されたキャッシュが残っている可能性があるため、今すぐWEXALの効果を確認したい場合は、KUSANAGIの設定からキャッシュを解放するようにしておきましょう。
設定ファイルは直接触らない
サーバーサイドの知識がない場合はWEXAL関係のファイルを勝手に触らないようにしましょう。
独自にチューニングしようと触った結果、設定ファイルが壊れてしまって正常にWEXALが動作しなくなる可能性があります。
WEXALは「WEXAL PST Manager」というトラブルを起こさずにWEXALをチューニングできる便利ツールが用意されています。
こちらのツール経由でカスタマイズすれば設定ファイルミスが起きることもありませんので、WEXALの設定を変更したい場合はこちらから行うようにしてください。
WEXALの導入・チューニングを考えている方へ
WEXALはサイトに合わせて自動的に最適化してくれるため、WordPressパフォーマンスを改善するコスト等を大幅に削減できます。
また、WEXALの土台となるKUSANAGIではnginxを利用できるため、大量アクセスにも強い環境が自然に整います。そんなWEXALの導入を考えている方はぜひWordPressのお医者さんまでぜひご相談下さい。
サイトの引っ越し・KUSANAGIの導入~WEXALの導入・設定まで全てサポートさせていただきます。